40代からのボクシング 第71話『ジム119〜121日目:まさかのVS日本チャンピオン』
嘘みたいな本当の話。
私がその方と出会ったのはつい1ヶ月くらい前でしょうか。ジムに行くと、はじめて見る方がジムのプロ選手とスパーリングをしていました。すんごいスパーだなーと見ていると、近くにいた会員さんが、あの人は元日本チャンピオンだよと教えてくれました。普段から出稽古などで他のジムからプロの方々がくるので、今日もそれかなーくらいの感じだったんですが、それ以降その方はいつもジムにいて、どうやら最近ここのジムに籍を置いた様子です。普段から、恐るべきスピードのシャドーや、聞いたことのないような音でサンドバッグを叩いており、さらにものすごく丁寧な姿勢で、すごいなーと思っておりました。ほんで、すごいなーすごいなーから、youtubeで試合なんかも見てみるとこれまたマジですんごいかっこよくて、戦績や経歴もすごくて、TVで特集されてたドキュメンタリーとかもみて、私めっきりファンになっておりました笑。同じジムとはいえ、ゆうてもこちら趣味でやっとるしがない40代、あちらは本格的にやってらっしゃるプロ中のプロ。ファンになりましたとも言えず、挨拶以外で関わることがありませんでした。
今回もいつも通り挨拶を交わし、練習を始めていると、なんとそのチャンピオンの方が話しかけてきてくれました。ちなみに、その前の晩も、前の前の晩も、私はその方の試合をyoutubeで見ていたので、ヒーローが話しかけてくれたようなものです笑。話しかけてくれただけでも大興奮だったのですが、出てきた言葉は私の予想をはるかに超えるものでした。
『練習中すいません。突然で申し訳ないんですが、今日スパーしてもらえませんか』と。
ん?んんんんん?あまりの言葉に私がびっくりして固まっていると察してくれた様子で、ディフェンスの練習がしたいので、手を出さないからオフェンスオンリーで攻めて欲しい、とのことでした。いやいやいや、だとしてもと、私が『初心者なので、なんにもできません』と丁重に伝えると、
『大丈夫です。普段の練習を見ていて、僕が練習になると思ったので声をかけさせてもらいました』
との驚くべき丁寧な返事が。そりゃもうなんと嬉しかったことでしょうか。お役に立てるかはわかりませんが、ぜひやらせていただきますってことでマッチメイク成立。こんなん今だかつてない奇跡の機会なので、他の会員さんも、記念になるでビデオとっといてあげるわー、とか、なんとか当てるべくアドバイスくれたりとか、一緒にちょっと盛り上がってくれたりして嬉しかったです笑。
そしてゴング。始まってしまえば自分にできることをやるのみ。そして、この状況を楽しむのみ。練習してきたパンチを放り込んでいきます。が、やはり、そう、もはや、全く当たりません。やっぱり本当すごいです。私のパンチは漫画のように空をきっていきます。テレビでみたことあるあの殴られ屋の華麗なシーンのようです。ディフェンスの練習ということなので、うまいこと私を誘導しながらコーナーを背負ってくれたりもするんですが、それでもいいとこ全然当たらんですねー笑。スタミナの限界まで打ち込み、なんとか3分×2R終了。連日youtubeでみていたあのディフェンスを目の前で体験させてもらえてすんごい興奮しました。
リングをおりて挨拶すると、いい練習になりました、と温かく迎えてくれました。とんでもねえでげす、本当に貴重な体験をさせていただき大感謝です。そして図々しくも、アドバイスをいただけないかとお願いしたところ、
『ジャブも速いし、今いじるところはないです。今、あなたはボクシングの成長期にいると思います。このまま迷わず進んでください』と、
これまた温かい言葉をいただきました。実際にはいじるところだらけなのでしょうが笑。本当にありがとうございました。しばらくお祭り気分がとまらん予感です。この経験をいかしてもっともっとボクシングと向き合っていきます。もっともっともっともっとだ。明日に向かって、打つべし打つべしつべし。
つづく
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